江村詠智

江村詠智

江村 詠智(えむら えいじ)
28才/いて座/A型/177センチ
劇団「アクシア」の主宰で演出家。
基本的に気まぐれで、突然考え込みだしたりいなくなったりすることも。
歩・大祐には慕われているが、面倒をみられていることもある。
厳しい演出という話だが普段はそんな感じはしない。


連れてきてくれたのは、劇場にほど近いお店だった。
テラス席もあるけど、さすがに今日は寒いので、公園がよく見える席に座ることになった。


【詠智】
「田倉、ケーキも頼めばよかったのに」

【主人公】
「い、いえ、大丈夫です。じゃあ、いただきます」


暖かいミルクティを頼んでいた。
江村さんはダージリンのストレート。


【詠智】
「タダで手伝ってもらっちゃってるしさ、こういうこと
 くらいでしか、お礼できないのにー」

【主人公】
「いえ、楽しいですから」

【詠智】
「そう? 変わってるね」

【主人公】
「そ、そうかな?
 でも、元々アクシアのお芝居好きでしたから」

【詠智】
「それはよかった」

【主人公】
「あの……アクシアって復活したりしないんですか?」

【詠智】
「えー田倉までそんな話?」

【主人公】
「す、すみません。
 でもさっきも、そんな話をしてたようだったので」

【詠智】
「まいっちゃうなー。
 みんな、俺をほっておいてくれないんだから」

【詠智】
「……うん、まあ、言われるうちが花ってね」

【詠智】
「よいことだ、うん」

【主人公】
「……で?」

【詠智】
「何が?」

【主人公】
「……その、アクシアのこと……」

【詠智】
「いいじゃない、そんなことどうだって」


ど、どうだって!?


【詠智】
「今は、今回の芝居のことで頭いっぱいなんだよ」

【主人公】
「あ、そ、そうですよね。すみません」

【詠智】
「それよりさー、田倉の話聞かせてよ」

【主人公】
「え?」

【詠智】
「昨今の女子高生の生態をさ!
 どこで遊んでんの? みんな彼氏とかいる?」

【詠智】
「そういや、田倉は?
 了とは全然そんな感じじゃないよなー」

【主人公】
「了君とはただの幼なじみです!」

【詠智】
「あいつ、まだなんかお子ちゃんって感じだもんなあ」

【主人公】
「中学の時は、けっこうモテてましたよ」

【詠智】
「へえ。で、田倉は彼氏は?」

【主人公】
「い、いません……」

【詠智】
「そっかー。
 でも、なんかそのほうが安心かも……」

【主人公】
「え?」

【詠智】
「これで、すでに元カレが五人くらいいますよ?
 とか言われたら、さすがにショックだもん」

【主人公】
「……そんなわけは……」

【詠智】
「あははは。
 友だちとかはどうなの?」


……結局、いろいろ学校の話をする羽目になってしまった……。