スチル&シナリオ抜粋—野際那通央

那通央スチル


那通央と買い物


SE(車の走る音)
ライトのフラッシュ


【那通央】
「危ない!」

【多映】
「ひゃっ!」


私たちの後ろから、車がスピードを出して突進してきた。


【那通央】
「――大丈夫?」

【多映】
「うん、大丈夫。びっくりしちゃった」


私はゆっくり深呼吸して、気持ちを落ち着かせる。


【多映】
「危ないなー。たまにいるんだよね……ああいう車」

【那通央】
「俺も、話に夢中になってて、気が付かなかった」

【那通央】
「もっと、気をつけなきゃな。送っている意味がない」

【多映】
「ううん! そんなこと。野際君の優しさには、いつも助けられてるよ」

【那通央】
「そんなことは」

【多映】
「あるって! 野際君はさ、いっつも周りの人のこと気にしてるし、一生懸命だし。私、憧れちゃうな!」

【那通央】
「……そんなに褒めても、何も出ないぞ」

【多映】
「おだててる訳じゃないし」


そこで、私はハッとする。

【多映】
(やだ、私ったら、野際君にくっついたままだよ!)

その事実に気が付き、恥ずかしくなって顔が赤くなってきてしまう。


【那通央】
「田倉さん?どうした?」